2022-02-10

私が観光MBAに通うことになるまで

色々あって、この春から京都大学経営管理大学院の観光経営科学コース(観光MBA)と言うところで2年間学ぶことになった。

観光MBAは、観光庁の支援を受けてできた、観光に特化した経営学修士のプログラムだ。海外では珍しくはないのだが、日本では現状で一橋大学大学院(夜間)か、京都大学経営管理大学院(昼間)にしか無いのだそうだ。京都大学では2018年に設立されたそうで、観光産業を牽引する経営人材、地域の観光産業を担う中核人材を育成することが目的とされている。MBAの国際認証としてはAACSB・AMBA・EFMDの取得はなく、日本のほとんどのMBAプログラムを提供する大学院のようにABEST21になるそうである(だからと言って教育の質が劣るわけではない)。全日制で、年に一度しか入試がなく、雇用保険で専門実践教育訓練の給付対象にもならないという、仕事と両立したい、または退職して給付を受けながら学びたいサラリーマンにかなり経済的に厳しい学習環境であることも、学問優先の京大らしいところだ。

ただ、入学枠が社会人特別選抜のみで、定員が10名と限られているため、入学倍率はそれなりに高く、近年は大体3〜3.5倍ほどあるそうだ。また、他にも長期履修制度が無いなどこのコースならではの制約などもあるので、近い専攻として通常のMBAのホスピタリティコースを受ける人もいるそうだ。合格するまでこの辺の情報を何も知らずに無邪気に受けていた。

というのも、私はエントリー締め切りの一週間前ほどにこの講座のことを知って、駆け込みかつ記念で受験をしたためだ。そもそも、私の人生においてやってみたくてチャレンジできていなかったことの一つが、「大学院で学ぶこと」であった。そういうわけで、特に急ぎでも無いため、そのまま放置していたら、まさかこんな四十路を前にしてストンと実現するとは思わなかった。人生何があるか分かったもんじゃない。

要件

受験の要件としては、①大卒で観光業での経験が3年以上ある社会人であること②職歴書・学習計画書を出すこと、③英語のスコアを期限内に提出すること。それらに対して、1次の書類審査である程度選別され、残りは2次の面接の後に、英語のスコアと学習計画書と面接の総合評価で合否が決まる。
①に関しては、私は要件の対象外だったが、これから観光業を目指す人で、そのための何かプロセスを独自で進めてきた人や、観光に活かせる仕事をしてきた人も受験はできるということだったので、とりあえずノリで出すだけ出してみることとした。また英語のスコアは、全国通訳案内士の取得以降、直近5年で何も受けていなかったので、これもすぐに受けてすぐに結果を提出しなければ間に合わない。だが残念ながら十八番だったTOEICは、期間中に開催予定がなかった。この時点で詰んだと思って諦めたが、よくよく調べてみたら、受けたこともないIELTSやTOEFLはテストセンターからオンライン受験できて一週間ほどで結果が来ることが判明。そこからダメもとで、試験時間がやや短いIELTSを急遽受験。これがまた、受験料が2万6千円とバカみたいに高く、当日も悲劇が起こるのだが、それについては後述したいと思う。ちなみに英語のスコアは2次面接の前まで提出を待ってもらえるのでありがたい(ただし郵送)。

書類

受験は、英語や学習計画書の準備に2ヶ月から半年はかかるとMBA系のブログには書かれているが、学力試験がないので、ある程度専攻の軸があって文章を書き慣れている人ならすぐ受けられると思う。エントリーはWEBでの申請をした上でプリントアウトし、学習計画書(手書き)と英語のスコアと共に郵送するという流れだ。これだとWEBでエントリーする利便性があまりない気がするが、手書きという文化は大事なのだろうか。釈然としないながらもフォーマットをプリントアウトして、罫線の1行にあいうえおを書き、何文字詰まるか確認をした上で、縦の行数分×課題枚数分で全文字数を計算し(1枚あたり平均600字前後)、書きたいことから逆算して起承転結の文字配分をする。時間も全くなかったため、一度wordなどに全文を打ち込んで文字数を計算してから、手書きで一気に清書すると早いだろうと考えたが、物事はそう簡単に進まない。一文字一文字きっちり書こうとすると、どんどん文字が小さくなっていく。その結果、想定文章よりも1〜2割程度スペースが残ってしまう。だいたい下書きをするときは650〜700字程度と少し多めに書いて調節できるようにしているのだが、調節しているうちに、だんだん自分でも流れがわからなくなってきてしまい、テーマ1が終わった頃にはもうほぼ下書きを見ることなく直接ぶっつけで書き込むようになっていた。何しろ、当時は色々重なって身体もメンタルも絶不調だった上に、記念受験をやっと決意してから期限までに一週間もなく、繁忙期で仕事もかなり忙しかったのだ。時間がない!!

研究計画書といいつつも、テーマは「現在までのキャリアの説明とそれがどう観光業に生きるか(A42枚)」、「志望動機」、「卒業後の進路希望」、「現代の経営の課題(A42枚)」、「自己PR」の5テーマで、自身の研究内容について詳細に書く必要はない。自身の来歴と、現代の経営課題以外はそれぞれ大体A4用紙1枚分の文章を手書きで書く。私は、もし行くなら自身の特技や来歴を踏まえてDMOやDMCについて学んでみたかったので、それを主軸のキーとして、それぞれのテーマ別に内容を置き換えて出した。なのでどのテーマから読んでも、結局は同じ結論になる笑。後から観光庁のHPを閲覧したところ、観光庁としても、DMOの人材は増やしたいようだったので、ちょうど良かった。

英語

英語は明確な合格スコアはない。とりあえず受けて出た結果をそのまま郵送すると、どの試験でも独自の換算ロジックで100点満点での振分配点が出される。本来であれば、受けたこともない試験を初受験でスコアとして出そうとしているのだから、日程を詰めて2回受けても良かったのだが、気軽に受けられるような受験料ではない。そのため、英語を使わなくなって久しい状態でぶっつけ本番と、かなりしんどい状態で受けることとなった。その上、受験日当日にめちゃくちゃお腹が痛くなり、しかし受付を済ませてしまったのでトイレに行かせてもらえず(IELTSは指紋を取って受付を済ませたら、早く来ていてもトイレに行かせてもらえない)、そこから気持ち悪くなって貧血に、と、そんな状態でリスニング、リーディングを迎えることとなり、案の定全然集中できなかった。意外と善処していたのが、ライティングとスピーキングで、これこそ久しぶりすぎて討死だと思っていたら、ライティングについてはエッセイの書き方と論旨展開は鍛えていたことと、スピーキングについてはノリで最後まで話し切ったことで及第点がもらえた。というわけで、散々な状況の中で受けた割にはオールの評価が6で、必要と言われるTOEIC750〜800点レベルは死守することができた。提出はスコア表のコピーでよかったのだが、こんなひどい思い出のスコアは二度と使いたくないので、原本のまま大学に送ってしまった(再発行できないので普通はやらない方がいい)。あとから他の方に聞いたところ、社会人が多いためかTOEICで受ける方が多いらしく、IELTSで、しかも原本提出は珍しいし、アカデミックでは好感度が高そうとのことだった。とりあえずなんとか期限までに形になるものを出せてよかった。

オンライン面接

一次の書類選考に通過すると、次は年明けに面接がある。そんな時に、年末から熱を出して実家でコロナらしき菌をもらい、熱を出して寝込む羽目になってしまった。結局コロナだったのかはわからなかったが、念のため待機期間相当の日程を自宅で過ごさなければならず、とても面接日には外出できない状態だった。が、今年からは正式にオンライン面接になり、自宅での受験が可能となったのだ。そのため、面接日までにとにかく死ぬ気で熱を下げ、あらゆるのど飴を試して声をなんとか治し、面接に臨むことができたのだ。一人の持ち時間は10分程度だったので、色々研究のことを聞かれると思っていたのだが、むしろそれ以外の雑談や、本当に授業を受けられるのか?などを聞かれたように思う。個人的にはあまり審査に役立ちそうな話にはならず、すぐ終わってしまってしょんぼりしたのを覚えている。

総じて

こういった一連の流れがあったために、私は完全に落ちたのではないかと思っていた。だけど、無事にご縁をいただいて今回合格の通知をいただくことができた。数々の偶然と試練を掻い潜って、記念受験の予定が本当に合格してしまったので、それならばきっと神様が来いといって下さっているのだと信じることにして、こうして今に至るのである。ただし、私はあまりにも自分が進むコースやMBAについて知識が無さすぎて、4月頭の導入講座では数学や数式や記号がひたすら大量に出てくることを知って今更恐れ慄いている(純文系育ち)。それでも私の良いところなのが、根拠のない前向きさである。とりあえず予習に必要そうな経済や数式の書籍は4月までに全て目を通すことにした。だからと言って数学音痴が治るわけではないが、学生時代とはまた違った形で触れられるかもしれない。そう信じる。見たことない記号がいっぱいー!!

というわけで、挫折しないように今読んでいる本についても書いておこうと思う。

ではまあ、そうゆうことで、いい加減な人間が真面目に勉強を始めようとしておりますので、応援して頂けますと幸いです笑。

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