2018-02-15

未来の文化的多様性を残す、語り手の言葉〜Treasure Language Storytelling 〜

最近、読んだ以下の記事でTreasure Language Storytelling Initiativeという取り組みを知った。

A Storytelling Initiative Aims to Preserve Urban Linguistic Diversity · Global Voices日本語の解説がみつかならなかったがすごく感銘を受けた取り組みなので、私が適当に要旨を書きたいと思う。

世界のグローバル化(単一基準化)に伴って、各地域のマイノリティの言語や文化が継承されずに失われていく傾向にある中で、その保全活動の一環として「母国語だけで語る会」をする。それは、マイノリティに当たるスピーカーが自身の母国語だけで最初に話を語り、その後英語などのリンガ・フランカ(通商語・共通語)で解説をするというものだ。

リスナーは、生の少数言語を聞きながらその音感やスピーカーの表情を楽しみ、文化を理解する。それによってスピーカーのマイノリティは、メジャーなコミュニティの中に再度自分達の居場所を作る事が出来、肩身の狭い思いをする事なく言語文化の継承をすることができるようになる、ということを目指した取り組みである。

リスナーが理解できるのは、最初は「音」だけである。

だが、言語習得で重要なものは「リスニング力」と言われる。聞けないものは理解できないも同じ。したがって、聞けないと話せない(自分の口で音を消化できていないと再現できない)し、聞けないものは書けない。逆に言えば、「音を聴く」事ができれば全ての理解につながる糸口となる。

この取り組みは、それを目指したものだ。彼らが、「マイノリティの言葉と物語り」に耳を傾ける。それらを認識する。それによってその言語の意味や背後の文化が存在し、意味をなし、用いられるようになる。

上記の記事紹介の部分に、ブルキナファソの女性が語る Dafing語でのプレゼンテーション(物語り)の動画があるのでぜひ見て見てほしい。前半が母語のDafing語で後半がリンガ・フランカとしての英語だ(公用語のフランス語じゃないのが面白い)。

なんとなく見た動画だが、ひどく感銘を受けてしまった。

昨日もzoomのアウトプット会議で言語の話をしていて、「言語は、一人でも話す言語の一つ一つに対して異なる人格を持つようだ」という事で盛り上がった。多言語を話すときには、どうしてもその言語が持つ背景の文化にキャラクターやテンションが影響されるというものだ。 英語なら英語の人格、中国語なら中国語の人格。トルコ語ならトルコ語の人格。スペイン語ならスペイン語の人格。日本語でも標準語と関西弁などのローカルアクセントを話すときの人格は微妙に異なるように思う。多言語を操る人が時に多重人格になったり、分裂症気味になったりして悩むのも理解できる。

動画でのスピーカーの人の様子も、母語の時と英語の時ではやはり違う気がするし、それを見る事が出来て寄り添う時間を持てるリスナーの人々の中にも変化が生まれていく。

私も、外国の言葉は基本「音」から耳コピで入る。

理解に努めようとする前に、音楽や言葉そのものを聴くのが好きなのだ。小さい頃から海外の文化や音楽が好きで、耳から歌詞を覚えるけど、歌っている歌詞の意味はほぼわかっていない。そのため、多言語で歌えるけど、それぞれの歌詞の意味はあまりわかっていないし、発音が正確なのかどうかも怪しい笑。が、雰囲気を感じて歌う。だから、テキトーリンガル(中途半端に色々な言語を聞きかじっていて、文法などの正確性が無いまま他言語とのちゃんぽんやブロークンで話す)になってしまう。

しかしそれで、通訳案内士の二次口頭試問の前日に受けた模擬プレゼンで、講師から「出来るだけ話さないプレゼンをしろ」という指導に繋がったんだと思われる。喋って評価される資格なのに、試験で「えっ、喋らない方がいいの!?」と思うやん、普通。
話さないプレゼントレーニング

でも、なんとこれで試験に受かってしまった。

不思議なことに、長年人知れず苦しんで来た語学コンプレックス(英検やTOEICや入試などでの点数は高いけど、緻密で正確な会話運用ができない)を抱えたまま就職先の語学面接も受けたのだが、やはり「話さない」スタンスで通ってしまった。

なので、今の私は非常にドキドキしている。目下、仕事の上で英語の正確性と運用力を磨くために日々筋トレ中でもある(辛い・・)。

話が脇道に逸れたが、「音」から入る言語文化と暮らしの認知度という意味合いでは正確性は不要であるし、文法や細かい意味を把握する必要もない。「存在を楽しみ、雰囲気を感じる」事ができれば、その言語はもうその時点で「存在し、認められている」のである。

そのための一番の近道かつ重要な事が、「誰かの言葉に耳を傾けること」だと思うのだ。

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