2023-02-28

アマゾンのトゥクピの原料、有毒マニオク

「ソース」が好きだ。

ここ一年というもの、料理研究が趣味の母はソースを作りに作っている。理由は簡単だ。食べ物だと、作りすぎると飽きたり、食べる人がいないからだ。その点、ソースなどの調味料であれば、多種類作っても冷凍したり、人にあげたりすることができる。というわけで、ケチャップに中濃ソース、お味噌にお醤油絞り、ごまだれなど色々作ってみた。

中でも面白いのが、「ソース」。ソースはスパイスそのものである。そういう意味では、「クラフトコーラ」に似ているのかも知れない。調合や入れる材料で風味もテイストも色々変わってくる。オリジナルソースというのも作ってみる価値がありそうだ。そして、市販のものと違ってサラサラしている明るい色だ。なのに、味は十分濃い。

東京の高輪に、「財団法人味の素 食の文化センター」というのがあるのだが、平日のみ彼らの所蔵文献や調査などを読むことができる。メールマガジンで世界の食文化などについても配信されていて、割と詳細で実に面白い(とても大手メーカーが片手間にやっているとは思えないような楽しい内容である)。そんな同法人が出している機関誌が「Vesta」である。

これがねえ、面白いんですよ。いろんな食の研究家が論文というほどの内容でもない、ふわっとした軽い研究について書いている。だから詳細な内容を知ろうと思うと物足りないが、あれやこれや興味関心を引く話題が多い。私はメールマガジンを購読しながら、たまにかなり前の絶版バックナンバーをメルカリで購入するのだが、今回たまたま「ソースの文化論」というテーマの号(82号)を見つけて思わず買ってしまった。

Vestaを読みたい方はこちら

その中のトピックスで九州大学大学院の先生が書いていらっしゃる、こんな文章があったのだ。

トゥクピ(tucupi)という、マンジュオカ(有毒マニオク)を原料とする黄色いソースを料理に用いる地域は、アマゾン全域に広がっている。それにマニオク粉であるファリーニャ、その中でも味わいが固くてポロポロしたファリーニャ・ダグアを料理に添えるという条件を付け加えれば、アマゾン料理文化の範囲をかなり正確にマッピング出来るだろう。

?????「トゥクピ」というソースについて語っているのはわかるのだが、何かの暗号だろうか。あまりにも
一つ一つの言葉が頭に入って来ない。

まるで「異世界料理道」のようである。これはこれで、存在しない味を想像しながらも主人公が誌面上で食材(猛獣ギバの肉)の活用法や調味料を深めていく様子が、予想以上の面白さだ。

本題に戻ろう。まず、アマゾンの「トゥクピ」とは、そしてその材料の「マンジュオカ」あるいは「有毒マニオク」とは何なのか?を読み進めてみる。

アマゾン料理を特徴づけるトゥクピとはどのようなソースなのか。これは、先住民文化から受け継がれてきた「有毒マニオク複合」とでも呼ぶべき料理文化の一部をなす。マニオクには、ブラジルでマカシェイラやアイピン、ペルーなどではユカと呼ばれる、茹でたり揚げたりして食べる無毒のものと、青酸を含んだ有毒のものがある。後者は栽培が容易で収穫量も多いが、利点はそれだけではない。そこからしか採れないアマゾン料理に不可欠な食材がいくつもある。

青酸を含んでいるのか、そりゃ有毒だわ。それを皮を剥いて水に晒して毒気を抜いて、絞って澱粉を取って、残りの汁を生かしてソースにしたら酸っぱいトゥクピソースができるとのこと。そしてマニオカの澱粉は粉にして丸くして茹でて料理に添えたりする。

ちょっと待てよ、、、これって「あるもの」にそっくりやん。ふと思い当たった私は、Googleで検索をして衝撃の事実を知った。そうだ、今まで私たちは騙されていたのだ。なぜこんなに簡単な事実に行きつかなかったのだろう。

まずは澱粉を取ることから、「イモ」である可能性が高いこと。その2、澱粉を絞って丸くして茹でること。その3、「シアン化合物」(有毒)であること。

キャッサバじゃん!!!!

そして、澱粉を丸くして茹でたのは、タピオカじゃん!!!!!

【キャッサバ】
キャッサバというのが一般的だが,地域によってはマニオクmanioc,タピオカtapiocaとも呼ばれ,その名が日本名としても使われることがある。

最初からキャッサバって言ってよ、もう〜。でもキャッサバってアフリカのイメージが強かったんだけど、他のジャガイモやサツマイモなどの芋のように、元々南米で取れるものだったんだ。ということは、これも奴隷貿易で運ばれた食文化ということなのだろうか。キャッサバについて知りたい方はこれも読んでおくといいだろう。

ブーム再来、あのヘルシーなデザートの”意外と知らない”原材料に迫る | 株式会社クボタ

西洋の紅茶文化の発達で茶葉や砂糖の生産拡大を行う上でイギリスが行った三角貿易において、ブラジル北東部地方(ノルデステ)で盛んになった砂糖生産の労働力確保のための奴隷貿易を行っていたのだが、それが契機となって、キャッサバはアフリカ東海岸へ伝わり、さらにインドや東南アジアに広がっていったということだ。キャッサバは焼畑農耕で進められ、痩せた土地でも収穫できる優秀な作物であるために、重宝されたということだ。

最初に読んだときは、何かとドキドキしたけど、トゥクピって結局、香草で煮たキャッサバソースじゃないの。そしてファリーニャはタピオカだろう。場所によって呼び方が変わるのは面白いし、ジャガイモだろうがさつまいもだろうがキャッサバだろうが、南米の芋が世界を救っている事実にはいつも感服させられる。

ちなみに、キャッサバは和名では「イモノキ」というそうだ。ルックスは確かに「芋の木」なので、ぜひ見てみてもらいたい。しかし、どちらにせよ日本で「トゥクピ」を作ってみるのはどうやら難しそうだ。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
関連記事
error: Content is protected !!