なぜ私はイスラーム文化に惹かれるのか
イスラームに惹かれて
大学生時代でのトルコでの生活をきっかけに出会った、イスラームという文化。アメリカの統計機関によると、2100年には世界最大人口の宗教となり、3人に1人がムスリムの方である状態になると予測されています。
何故、イスラームは色々な問題を抱えながらも、現代に至るまで様々な場所で、たくさんの人々からの信仰を集め続けているのでしょうか。そこには人口増加と経済成長だけでは語れない「ゆるやかな文化共同体としての豊かさと個性」があるからだと私は考えています。
イスラーム文化には、古くから高度な技術文明や食文化、芸術などがあり、私はその奥深さに魅せられて、旅をする中で色々と調べてきました。しかし、そこには何か固定化された定義やイメージが存在するわけではなく、旅してきた国々や地域の独自の慣習や風習と溶け合って馴染んでいました。私は、その柔軟性に、イスラーム文化の多様性やゆるやかさを感じるのです。
商業交易の秩序化を目指す宗教
またイスラームは、もともと商業交易の秩序化を目指す宗教です。異人や旅人を手厚くもてなし、仕事も生活も「困った時はお互い様に助け合う」ような、ゆるい文化共同体としての絆がありました。今まで旅してきたイスラーム圏のどの国の日常でも、その印象はほぼ変わりません。ですから、イスラーム文化圏の国を旅する時は「なるようになるさー!」といつも気を緩めていられるし、実際に彼らの温かさに何度も助けられてきました。
こういったイスラーム文化に触れていると、イスラーム全般に対する欧米や日本の報道に誤解や偏りがあると日々感じるようになりました。同時に、日常の意図的なフィルターのかかった情報群に対して、私たちはあまりにも受け身で無防備であると。
そこから「世界のいろんな角度から物事の見方を知り・自分の目で見て、足で歩いて確かめ・情報の収集や共有をし・判断することで自身の価値観を育てる」ことの重要性を痛感するようになりました。このように「情報への向き合い方」を考えるきっかけを得られたのも、旅の収穫の一つだと思います。
この旅と文化への姿勢は、私が現在探求している奈良の歴史文化においても変わりありません。
これからもきっと。