灼熱の中東から来た優雅な氷菓子を奈良で。
私は食べること全般が好きだが、中でも知的好奇心としては中東からシルクロードの食文化が好きだ。
なぜなら、この食文化が世界の食文化の屋台骨を支えているからであり、ここから世界中に食が伝播し、その土地に合わせてカスタマイズが進んでいったからだ。
中東、シルクロードの食文化ではスパイスやハーブをよく使う。
基本的に暑いところで冷蔵庫もないから、香辛料で匂いをごまかしたり、腐食を遅らせていたのだ。ハーブとスパイスの間には明確な境界線はない。あるとすれば、スパイスは携帯可能に加工した乾物という点で、長い長いシルクロードを渡って商品として運べたということが大きい。
スパイスやハーブを多用している割にはあまりにもそれぞれの個性や効能を知らなさすぎるということで、先日、勢いでスパイス・ハーブ検定の1級を取得した。
それに気を良くして、さらにスパイスアドバイザーという資格をうっかり取った。
そして、さらにその面白さを伝えたくなってうっかりスパイスインストラクターという資格まで取ってしまった。
自分の行動力が怖い。
しかし・・・・どうする?
せっかく取って見た資格なので生かしたいと思いつつも、やっていることは今までと特に何も変わらない。
これからもシルクロードと中東の豊かな文化を発信しながら、そこから生まれた美味しい料理を楽しむだけだ。
そんな私は最近無性にイランのサフランシャーベット、またはアイスが作りたいと思ってる。
というより、食べてみたい。
しかし、売っていない。
売っていないなら、作るしかない。
冷たい氷にサフランの黄色、ローズウォーターの香りを添えたシャーベットは、イランからペルシャ時代の優雅な時間を運んでくれる。
素敵なアラベスク模様の陶器のカップに盛りつけ、バラの花でも散らせば思わずうっとりする。
調べて見たところ、シャーベットの起源はどうやら中東にあるようだ。
私の大好きなナショナルジオグラフィック日本版の「世界のおやつ探検隊」には、以下のようにある。
紀元前4世紀に現在、中東と呼ばれる地域を含む広大な王国を支配したアレクサンドロス大王は、雪や氷にハチミツや果汁をかけたものを楽しんでいたという。中世には、アラブ人やペルシャ人、トルコ人が雪や氷を入れた果汁などの冷たい飲み物(シャルバート、アラビア語で飲み物の意味)を満喫。それがイタリアに伝わり雪・氷にレモンなどのフレーバーを加えた冷菓に変化したのだろうという。これがシャーベットの誕生だ。
世界のサフランの総生産量が200,000kgと言われるが、そのうち約9割の生産量を占め、かつ世界の一大ダマスクローズの産地であるイランでは、サフランとローズウォーターを香料・着色料として用いた料理が多い。だから、それらがシャーベットになっていたって何もおかしくない。
暑いところでないと、逆にこういった削り氷やアイスという感覚はなかなか生まれないだろう。
しかし。
ちょっと待て。
中東といえば灼熱の砂漠だ。
そんなところで、どうして氷があるのだ!
実は、砂漠しかないイメージはあるが、イランもトルコも山岳地帯を有しており、冬には雪が降る。
試しに「イラン ゲレンデ」で検索してみると良い。たくさんヒットする。
そんな冬の寒さを生かして、イランには紀元前よりヤフチャール(ヤフが氷、チャールが窪みの意味)と呼ばれる氷室が作られており、
冬に出来た氷を夏まで保存する貯蔵庫として使っていたそうだ。
うん、待てよ?
このフレーズ、どっかで聞いたことがある。。
んーと、んーと。。。
そうか、奈良天理市福住にある氷室神社だ。
この氷室神社は、日本最古の氷室の神社と言われている。
「都祁(つげ)国」(今の福住)と呼ばれていた頃に、冬季に氷を氷室にかこって毎年夏季に朝廷へ献上していたそうだ。
というゆかりがあることから、奈良でも「ひむろしらゆき祭」など献氷祭があったり、ならかき氷ガイドに見られるように、かき氷が盛んだったりする。
その奈良のかき氷も、遠く中東からシルクロードを渡って伝わって来たものなのだろうか。
そう思うと悠久の時を感じられる。
そんなわけで。サフランシャーベットが食べたいのだ。
トッピングはおそらく、ピスタチオか松の実。
最近の若い人がよく気にしている、インスタ映えもするはず。
あーーーーー、サフラン育てたい。。。。。
じゃなかった、サフランアイスを作りたい!!