2017-11-01

【旅】イランの何がそんなに面白いんだと思う人へ〜イラン取説〜

やっと、明日から待ちに待ったイランだ。

おそらく、これまでで一番準備に時間がかかり、これまでで一番わからないことが多かった個人旅行だ。

それもこれも制約が多いからだ。例えば、アメリカの経済制裁を受けている関係でAPPstoreにイランのお役立ちアプリが載っていなかったり(仮にDLできてもイランでしかアクティベートできない)、AirbnbやKitchihike,expedia,booking.coomなどのアメリカ系シェアサービスもほぼ使えないし、インターネット規制でFBなどは閲覧すらできない(なぜかLINEは問題なくみられるそうだ)。また、通信もあまりよくなく、公共の場ではほとんどwifiがなく、仮にあってもVPNなしで接続すると悪用されそうな代物が多いそうだ。

さらに、テヘランは北京同様に深刻な大気汚染だし、交通状況はむちゃくちゃ。そして、女性はいつでもどこでもチャードルという黒い全身を覆う布の携帯が必要(必ずしもいつも着用しなければならないわけではないが、ヒジャブ(スカーフ)は必須)で、外国人女性においては異教徒であるとして現地人男性によるセクハラ問題も多い。さらに、ペルシア語はアラビア語に似ているが中身は全く違って全然読めないし、ペルシア数字やイスラム暦など独自の数字やカレンダーで物事が進んでおり、通貨に至っては国内で二種類流通しているので(リヤルとトマーン)、読めない数字のどちらかわからない通貨の値段で、いつに出るのか日付が読めないバスのチケットを買うと思うと、どう頑張っても間違えそうで、すごいスリルを感じる。

それでも、行くだけの価値がある素晴らしい国なのだ。イランは。
ホントかー!?危ないだけなんじゃないの?砂漠とか砂だらけでご飯も美味しくないんちゃうの?と思う人に、先輩イラントラベラーのみどりちゃんが教えてくれた、下の「Don’t go to Iran」という動画をぜひ見て欲しい

固定概念がひっくり返されて、純粋に感動するはず。

Don’t go to Iran

シルクロードの交易文化、マシュハドへの聖地巡礼(イランはシーア派なので)などで、旅人へ親切にする文化が根付いているため、海外バックパッカーの好きな国ランキングで、第一位だったという実績もある。ご飯も美味しい。遺跡は驚くほど美しいものばかり。さすが天下のペルシャ帝国文化。ペルシア人には、ヨーロッパのルネサンスの礎となるような古くからの豊かな歴史文化を保有しているという強いプライドがあるというのもよくわかる。

ご縁があるのか、ペルシア文化に関するイベントを西荻窪のOkatteや、開店仕立ての胡桃堂喫茶店でやらせてもらい、私が料理をする食事会は4度もやらせてもらい、先に旅立った先輩からいろいろ話を聞けたり、イベントに来てくれた友人が「一緒に行きたい!」と言ってくれて、さらに新たな友人を連れて一緒に来てくれることになり、さらに、その一緒に来てくれる子が非常に旅のIT系のあれこれに慣れていて、イランのアプリをインストールしたり、あの手この手でイランの国内線やホテルを予約してくれたり、脱獄やSIMのことを教えてくれたり、海外サイトに載っているイランの旅行者向け決済サービス(Tourist Card)を見つけてくれたり、情報がほとんどなくてなかなか事前に取りにくい観光ビザを代理店を使わずに一週間ちょっと前に申請出して郵送で取得が間に合ったり、本当に普段成り行き任せの一人旅をしている身としては参考になることがたくさんあって、めちゃくちゃ刺激的。
(個人的にはVISAも、別にアライバルビザでいいやって思っていた)

そんな色々な転機につながったイベントの一つでOkatteで実施した分の記録動画がこちら。そもそもokatteも友人のMikiさんが紹介してくださった縁で実施することができ、そこで出会った方々にその後もお世話になって色々な他のイベントもやらせてもらっているため、本当にわらしべ的に可能性が広がり続けております。動画は、友人で、かつ映像ユニットminatelierの仲間でもある、敬愛すべきルーシーさんが作ってくれました。

さて、こういったイベントも実施したり、自分の興味を広げていく上で
イランに行くにあたり、いろいろ本やDVDや音楽を探してみた。

中でもよかったのが、鑑賞会を四月にやった「イラン式料理本」というドキュメンタリーだ。
これはイランの食を通して監督を取り巻く女性たち(嫁、姉、母、祖母)の現代食卓模様がよく伝わってくる秀逸なドキュメンタリー。ひたすらご飯を作っている場面をカメラは追うのだが、その中の人間模様も透けて見えるのと、何より美味しそう。実際にDVDの特典としてレシピがついてくる。
そして、最後の笑えないけど納得するオチも良い。

イラン式料理本

また、もう一つとても秀逸で、ペルシア帝国の文明の高度さがわかる映画が、千年医師物語だ。
中東の「レオナルドダヴィンチ」と呼ばれるアヴィセンナ(イブン・スィーナー)という博覧強記な名医に弟子入りするために、母親が黒死病で亡くなったイギリス人の子供ロブは、イブン・スィーナーの弟子だったという医師の技術の確かさに感銘を受けて、海と砂漠を渡り医学を学びに行く。それまでのイギリスでの医学というものは、各地を放浪する理髪兼奇術師(バーバー)が片手間の銭稼ぎに行うもので系統だった技術などはなく、助からない人も多かった。ロブも最初は、そんなバーバーに付いて回っていたのだ。当時のありとあらゆる文明が集まり栄えたペルシャ帝国の都イスファハーンの豊かさ、そして周囲の国々の脅威、砂漠越えの過酷さ、人命を助けるためにイスラームの宗教上のタブー(人体解剖をしてはいけない)と向き合う辛さなどが、ドラマチックに描かれているドイツの映画だ。これは本当に本当に本当に面白いのでいろんな人に見て知って欲しい。

千年医師物語

ちなみに、イスファハーンについては以下の記事でも紹介している。

イランの真珠、イスファハーンにときめいて

次の「ペルセポリス」もまた良い映画だ。

ペルセポリス

現在はフランスに住んでいる主人公で、民主化に向けた激動のイランの時代を生きて来たマルジのシニカルで、「生きる」とは何かを考えさせられるアニメ。もともとは、漫画であったのがベストセラーとなって映画化されたもの。

イラン・ペルシア日記
イラストレーターの夫婦がイランを訪問した時のエッセイ。装丁のデザインが可愛くて素敵。これの他にウズベキスタン日記もあり、どちらも面白いがあまり一般的に流通していないので、購入する際は彼らのホームページから郵送してもらうことになる。現地の写真や旅模様が盛りだくさんでほのぼのできます。

イラン・ペルシア日記

イラン人は面白すぎる!


これも面白い。イラン人で日本に住む著者が、陽気なイラン人たちが織りなす数々の珍エピソードを通して、身近な等身大のイスラーム文化を教えてくれる。

旅の指差し会話帳 イラン


これは今や出版されておらず、手に入らないプレミアものである。私も、探したものの新刊が手に入らず、定価と同じ価格で中古本を購入した。

イランのお菓子は、トルコの隣国ということもありバクラワや、トルコで有名なターキッシュディライトに似ているヌガー菓子のギャズなどが有名である。私の好きなナショナルジオグラフィックの「世界のおやつ探検隊」でも、ギャズなどが紹介されている。

イラン料理はハーブとフルーツと野菜がたっぷりの、とても体に良い料理だ。私も、主にこの本やクックパッドなどを参考にしながら自分で作って見ている。

これのトルコ版も、とても気に入っている。他にもロシア料理の本も出版されているようだ。
私の大好きな料理は、フェッセンジャン(鶏肉とザクロとクルミのシチュー)。これをサフランライスにかけて食べるとなんとも言えない。本来はイラン原産のザクロペーストを使うのが良いのだが、なかなか手に入らない場合は、ザクロジュースを蒸留して代用している。その方が味があっさりしていて私は好きだ。くるみはミキサーで粉砕するのだが、ここで意地でも細かくしておくことが重要で、舌触りに影響してくる。本来は、料理の最初と最後で二回ミキサーにかけるのが望ましいのだが、完成したシチューから鶏肉を傷つけずに取り出して再度シチューをミキサーにかけるのがなかなか難しいので、諦めていることもある。これはイベントでは外せない料理だ。

これは高円寺の美味しいペルシア料理やさんで、お友達になったレストランbolbol。この旅の作戦会議をするのに友人と何度も通ったお店。サラダとスープ(写真はフェッセンジャンではない)。

今回、イラン旅行について一年以上かけて準備してきたせいもあって、事前準備の数々、現地の文化や本の数々、ダンス、音楽、宗教(シーア派について)、人柄、聖地(マシュハド)、歴史、日本で食べられる美味しいペルシャ料理やさんなど書きたいことがまだまだあるが、とりあえず明日に旅が迫っている関係で、一旦ここまでにしたいと思う。

ああ、トルコやウイグル、中央アジアの時も思ったけど、この面白さと奥深さをもっとたくさんの方に知っていただきたい!!

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