2017-08-20

神秘的な炎と魂の道しるべ〜奈良万灯籠・燈花会・高円山の送り火〜

奈良には人が来ない。

と、よく言われる。
確かに普段の奈良駅周辺では、外国人観光客は増加して来たものの(私が行くのが平日が多いので)、東京・京都に比べるともちろん、大阪よりもまだまだ少ない。

ただし、8月の奈良は一味違う。

それはお盆の行事で、ライトアップやイベントが目白押しだからだ。
特に、14日は奈良燈花会と春日大社中元万燈籠・15日は東大寺万灯供養会と高円山の大文字の日送りという主要行事が重なるため、特に混雑する。
また、15日には春日神社・八幡神社では「ホーランヤの火祭」が実施され、灼熱の大松明を神輿のように担いだ男たちが境内を練り歩く。

ろうそくの「火」。
松明の「炎」。
どこもかしこも、「火」が使われる。

「火」には、恐ろしく美しくてどこか神秘的な姿を感じる。
家が昔ながらの民家であることから、小さい頃から火の恐ろしさについては再三インプリンティングされて来た。マッチ箱のように紙と木でできている家で、山林に囲まれ、都市部と異なり防火システムも整えられているわけではなく、地域の消防もすぐには来られない。うかうかしていたら地域ごとあっという間に焼けてしまう。確かにとてつもなく大きな脅威だ。
なので、私はアルコールランプの火、マッチの火、線香の火でさえも、扱う時にはドキドキして育った。

その一方で、「火」の持つ様々な力を感じたりもする。

全てを焼き尽くして0に戻す「浄化・殺菌」、
どこまでも燃え上がり全てを焼き尽くす「パワーと偉大さ」、
迷える人々や魂を迎え、送り届ける「光、道案内」。
などなど。

そうして、ゆらゆら煌めく火の動きを色々な想いで眺める。

うん、美しい。

だからこそ、古来から様々な宗教において火はいろんな意味合いで崇拝の対象とされて来たのだろう。
我が家においても、正月には「竈神(お竃神さま)」として台所の火を守る神様に神棚を作る。

8月の万灯籠や燈花会も炎の力を借りた祈願や慰霊の儀式であり、大文字は御先祖様達が天に帰っていきやすいように火を使って送り届けるもの。ホーランヤの火祭りは、火の力を借りて雨乞いや無病息災の祈りを天に届ける。

そういった行間を五感で感じながら見ると、ライトアップイベントとして混雑していても、土砂降りでも、どこか「この世」と「あの世」の境が曖昧に混じり合うような不思議な時間を味わうことができる。
(その意味で御先祖さま達とこの世で夏を楽しめる「盆踊り」は好きだ。)

宿泊した奈良のホステル。

猿沢池の近くで交通の便も良い。男女混合ドミトリーの場合、仕切りが障子のようになっているのが面白い。3000円/泊。女子ドミトリーは、普通の二段ベッドで2600円/泊。設備は清潔で新しいので快適だが、女子ドミトリーは巡り合わせ次第でベッドがきしんだりうるさかったりするのであまりオススメしない。間仕切りがきちんとついている混合ドミトリーをオススメする。ドミトリーの前にはカフェがあって、居心地が良いが朝は9時まで開かないので何か食べ物を用意しておくか、駅前の「もちいどの商店街」でミスドやマクドなどチェーンのお店で済ませると良い。

奈良駅周辺の観光の欠点は、観光客にとって「朝が遅くて夜が早い」に尽きる。
なので、夜は今回のようにイベントがない場合は、地元の人と繋がっておいて何か個別に楽しむ算段をつけたほうがいいと思う。

あとは、東京からこのイベントのために訪ねに来てくれた小野さんが言ってて「なるほど」と思ったのだが、平常時においても神社仏閣の夜間拝観があると良い。
夜間拝観の場合、ライトアップされているので仏像の陰影が際立って、いつもの数倍美しく見えるのだ。

奈良ホテル。

久々に見た。奈良人にとっては感動が薄いものだが(特に母親は、美的感覚的にあまり好きではないらしい)、久しぶりに見るとやはり美しい佇まいだと思う。

14日に友人でコーチの環ちゃん夫妻に連れていってもらった浮見堂。ここからの眺めは最高でした。
ずっといたい。けれど、美しい場所はみんなが大好きなので、混雑していて立ち止まれませんでした涙。
15日の奈良の高円山の大文字は、天気が悪かったのと大仏殿にうっとりしすぎて見られなかったのだが、ここからみる大文字は穴場として素晴らしいらしい。来年は試して見る価値がある。ただし、「虫刺され」にはご注意ください笑。めっちゃ刺された。。。。。

うん、綺麗。

参道も厳かな感じがする。これがないととても怖い。

大仏殿の万灯籠。遠くから見てもたくさんの灯籠の光が大仏殿をぼんやり照らし出していて幻想的。

盧舎那仏さま。お身拭いが済んだのでいつもよりもさらに綺麗に見える。そして何度見ても大きい。。。

中にもお灯明が。

正面から。

15日の、春日神社でのホーランヤ火祭り。

境内を右まわりに松明を担いで火をつけずに1周、次に神前からとられた火をつけさらに2周し、最後に拝殿前に奉納される。
松明の大きなものは長さ4m・直径2m・重さ500kgもあり、巨大なのでみんなで担ぐ。
当日は土砂降りの中で始まったが、途中から雨が降ったり止んだりになって来ると松明の燃えがよくなって来て、大松明が通り過ぎるだけで体が熱い。ビニールの雨合羽を来ているので蒸れて暑いし、だんだん強くなってくる境内と松明の火と熱気が暑くて汗ダラダラ。雨も降っているから、水もダラダラ体を流れる。藪の中の神社なので蚊にたくさん刺される。さらに、担ぎ手たちは、燃えさかる松明を長い時間支えているので普通に火の粉をかぶったりしている。

小さな地域の神社でありながらも、近所に消防も待機するほどの一大イベントだ。
大迫力でめっちゃ面白い。当然、写真愛好家の方々も大勢スタンバッていて、張り切りすぎて境内の中に出て来て怒られている人も多かった。
機会があればぜひ見て見てほしい。

奈良国立博物館の向かいにある、氷室神社。

氷を祀る神様で、ここでかき氷の奉納をしたり氷みくじを引いたりすることができる。また、5月には献氷祭の「ひむろしらゆき祭」が催される。毎月1日には境内に氷灯籠が置かれるのだが、今回は特別に15日にも置かれていた。奈良県には他にも、天理の福住に最古と言われる氷室神社があり、そこには氷室もあるらしい。福住は高速道路に乗るときにしか通らなかったので気づかなかったが、今度行きたいな。

今回は友人の小野さんが14日〜16日まで奈良に遊びに来てくれた(というより美しい動画を撮影しに来た)ので、影像が映えるように以下のような感じの行程にしました。

8月14日に燈花会と春日大社中元万燈籠、15日に西大寺→春日神社(ホーランヤ)→八幡神社(ホーランヤ)→ならまち→東大寺→興福寺五重の塔(大文字見れず)でした。
14日は燈花会経験者の環ちゃんの旦那さんに(敬愛して「パパさん」とお呼びしていた)盛りだくさんなコースを案内してもらい、15日は小野さんも歩きが得意だそうなので、1日かけて体力勝負の弾丸ツアーで奈良と橿原を行ったり来たり。
16日は私は行けなかったものの、私が奈良駅近辺で大好きな所として元興寺とうどん屋さんをオススメしました。

忙しい中時間を作って本当に遊びに来てくれたので感想をお聞きしてみたら、
以下のように真面目なコメントをくださいました。

「定番の燈火会や東大寺はもちろん、ほうらんや火祭はガイドブックだけではなかなか来られないローカルなお祭りでした。神社仏閣と自然が融和した奈良には、京都にはない魅力があり、充実の三日間を満喫できました。」

「感じる奈良」を楽しんでもらえてよかったー!!

写真がうまくアップできなくて、全部の写真をお見せできていないのですが、あとで更新しておきます。

今日の奈良奥大和は快晴なのですが、オニヤンマが書斎に入って来てうるさいので、ちょっとこの辺で文章を終わりますw。

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