イフタフ ヤー シムシム!〜未知の世界への扉を開くには〜
先日、イスタンブールのトルコ・イスラーム美術館にて、大きな大きなモスクの扉に出会った。
そこに刻まれた、祈りとともに果てしない時間と手間をかけて作られてきたアラベスクの模様たち。
美しくも壮大で頑丈で、どう考えても生半可な気持ちで挑んで開くようには思えない。
その時、頭の中に「ある言葉」がふと浮かんだ。
堅固な扉を自らやすやすと開く魔法の言葉。
それが、「イフタフ ヤー、 シムシム!」である。
日本語では「開け、ゴマ!」で、馴染み深いはずだ。
しかし、そこにはある真意が隠されているように思う。
私は最初この言葉は「扉」に命令しているのかとおもった。しかし、よくよく原語やゴマの植生を調べてみると、開く対象はなんと「ゴマ」自身であった。
開けゴマの由来
「開け、ゴマ」の由来は諸説あるのだが、そもそもゴマという植物は「さや」のなかでたくさんの実がなり、その中でも実り多く豊かな「さや」しか弾け開かない、ということからゴマそのものを宝物、そしてゴマのさやを「開く扉」に見立てた、という話が説得力がある。
しかし、それだけであろうか。
アラビアンナイトはイスラームの世界と切ってもきれない関係にある。
幼い頃から、アラビアンナイト(正確には「千夜一夜物語」)の魅せる壮大な世界観や交易文化が好きだったが、
その奥には、何かもっと深い道徳的な意味が隠されていたのではないだろうか。
ゴマのさやが開く時、それは中にあるゴマが長い時間をかけて豊かに成長し、実り多くなって価値あるものとして世に出て行く準備が完了したという証である。
すなわち、「自身の準備が整うタイミングが来た」ということだ。
アラビアンナイトに立ち戻ってみると、宝物がある岩窟の扉の前に向き合った時に、本当に試されているのは「自分自身の人間性」だとしたらどうだろう。果たして自分はこの財宝に触れるのにふさわしい立派な人間かどうか。盗賊が結果的に、「ひらけゴマ」という言葉を言ったわけではないので本当のところはわからないのだが、アリババがその言葉を見出したということは、彼の「時」が満ちていたということだと考えられないだろうか。
目の前に扉がある。その扉が大きければ大きいほど、堅固であれば堅固であるほど、なんとかその先に広がる知らない世界を見てみたい。時が満ちていれば、きっかけを与えるだけで大きな未来の扉が自然と開く。未熟であったり、タイミングを外せば、もちろん扉は閉じたままだ。自分はその世界に耐えられるだけの準備が万端だろうか。
誕生日を迎えて
そんなこんなで、本日誕生日を迎えました、「古今東西、好奇心の(おもむくままに生きる)旅」が理想のミカドです。
12月15日に、タタールスタンの歩き方というイベントをやらせていただきました。
【イベント:12/15@奈良】タタールスタンの歩き方〜多民族国家ロシアを支えてきたムスリムの心のふるさと〜
こちらが思った以上に反響が大きく、奈良の「ゲストハウス奥」さんでのイベント自体も宿泊が満室、お客さんも満員でありがたいことにとても好評でした。また、イベントに「興味がある」を押してくださった方が300以上、シェアも27回、コメントも個別にたくさんいただきまして、このたび奈良だけでなく年明け2月に東京でもやらせていただくことになりました!いつかいろんな都道府県の場所でもイベントができたらいいなあ❤️ そしてさらに、奈良の別のゲストハウスさんからもお声かけをいただき、また新しい誘客型文化イベントを企画させていただくことになりました。
実は奈良に来てからずっと狙っていたことがありまして、「イベント行きたいけど、奈良での開催だからなあ〜」というコメントや「宿泊したいけど近所に住んでるからなあ〜〜〜」というコメントが発生し、それに対して最終的に「イベントに行きたいから来ちゃった❤️」となることでした。今回はそれが実現したので嬉しいのかも。
興味を持ってもらえるイベントでないと、まず上記のコメントすらいただくことができません。今回のイベントは今までに経験がしたことがないくらい、イベントが生き物のように宣伝の一人歩きをするようになって、知らない間に拡散されていて、知らない間にいろいろな方から記事やイベントにいいねを押していただいていて、知らない間にイベントの参加者じゃない方々からも熱心にイベントの投稿を読んでいただける、そんな不思議な経験でした。東は神奈川から、西は愛媛から、みなさま様々な場所から起こしいただいて、楽しくオフ会の準備や買い出しをご協力いたただけて、全然関係なかった当日の一般宿泊者の方も急遽お誘いしてオフ会まで参加してもらって笑、本当にありがとうございました。
こういった文化イベントは30回以上やってきているのですが、どうせなら何かゲストハウス奥さんの集客の力にもなりたい!!と思って考えはじめた今回は一番学びが多くてすごかった!!!
そして、お客さんにイベントのプレゼンテーションが「内容も良かったし、雰囲気も和気藹々として楽しめた!」と褒めていただいてとってもとってもとってもとっても嬉しかった!!!!
「たかがゲストハウスでの安い旅話だと思ってきていたら、お茶やお菓子が出たり、話の内容もめちゃくちゃ濃い中身なのに時間通りにきちんと終わってびっくりした! だいたいこういうイベントってだらだらしていて終わらない割に何が言いたいかわからないことが多いのに。面白かったー!」
というコメントをいただいて、「実践的に旅に活かせる前知識としての歴史(プレガイドと呼んでます)」や「文化系イベント自体の育て方」に関する可能性を実感しました。もはや、イベント自体が一つが見知らぬ人(同じことに興味がある他の参加者や主催者)と同じ時間を過ごしながら旅する「キャラバン」と一緒じゃん!!!と発見したのです。
そして、場合によっては主催者と参加者の垣根もどんどん曖昧にしていきたい。前回のイベント参加者の方がヨガがお好きだというので、今回宿泊者向けに翌朝にヨガのインストラクターをしていただいたのですが、お家からたくさんヨガマットを持ってきてくださったり、動作もすごくわかりやすく的確に教えてくれたので皆でとっても楽しめました!!! またやってほしい!!東京ではコラボが当たり前だったので、奈良でもそういったいろいろなワクワクする企画を素敵な方々とコラボできればいいなあと思って、今は年明けに向けて蔵コレのプロジェクトを検討しています。
そして、なんとひょんなっことからイベントのやり方や集客の仕方をご相談いただくことがあり、「わたしなんかでいいんやろか!?」と思いながら思いつくことをお伝えしたら「コンサルしてほしい!!」と言ってくださり、なんだか新鮮でとても幸せな気持ちになりました。
奈良に戻ってから、今も含めて、介護や相続や仕事などいろいろ悩むことやうまくいかないことがたくさんあるのですが、その都度たくさんの素敵な方と出会えて頑張ろうって思えました。一年半という時間があってこそ、今につながることも多いんではないだろうかと感じています。今の時点で何か目に見える具体的な成果があるわけではありませんが、来年の射手座は「飛躍と開拓の年」だということですので、「ゴマのさやが開く時期」を迎えることを期待して今を大切に紡いでいきたいと思います。
最後に、誕生日のコメントで、「ミカドさん、とっても楽しそうに生きていて、ぜひまた繋がりたいと思った」と懐かしい方からコメントをいただいたのがとても励みになって飛び上がりたいほど嬉しくて、実際はしんどいことの方が抜群に多いけど、私が楽しく生きることで誰かの励みや元気になるなら、自分自身が諦めずにもっとワクワクできるように前を向いてやっていきたいな!
と、また勇気を出して扉に向かおうと思えるのでした。
「扉さん扉さん、私はあの言葉をもう言っていいかな?」
と笑。