【BOOK】病が語る日本史〜祟りと祈りと調伏の文化史〜
皆さんはお家時間を何をして過ごされているだろうか。
コロ助が暗躍しているせいか、感染関連の本が軒並み売れに売れている。
<感染症の世界史>
<疫病と世界史>
そんな中で、旅の図書室からは別の本の提案をしたいと思う。
『病が語る日本史』だ。
これは私たち日本人が過去からいかに病と向き合ってきたかという文化本である。
古代から疫病や飢饉は、神の怒りや、政治闘争の中で不遇の死を遂げた人々の祟りであると考えられ、そういった神や霊の現世に対する怒りをなだめようとして行われてきたのが、「祈り」、国を挙げての祈祷である。病の流行に政治が動いたのだ。
著書の前書きにもあるが、病が盛んになる前は、医者にみてもらい、家族や親戚の手厚い看護を受けてきたが、大事なことは神に真心を込めて自戒し、平和のために祈りを捧げることであった。そうして安らぎを得ることが医学の基本であったからだ。その基本は、きっと数千年たった今でも変わらないはずだ。
<病が語る日本史>
それぞれに触れられている病をみていると、当時の文化的社会背景がリンクして、理解が深まる。
●病の記録
・骨や遺物が語る病
・古代人の病
・疫病と天皇
・光明皇后と施療
・糖尿病と藤原一族
・怨霊と物の怪(菅原道真/葵の上)
・マラリアの蔓延
・寄生虫との長い付き合い
●時代を映す病
・ガンと天下統一
・江戸時代に多い眼病
・万病のもと風邪
・らい・ハンセン病
・脚気論争
・コレラの恐怖
・天然痘と種痘
・梅毒
・日本最初の職業病
・長い歴史を持つ赤痢
・かつては命定めの麻疹
●変わる病気像
・明治時代のガン患者
・死病として恐れられた結核
・ペスト流行
・事件簿とエピソード
・消えた病気
・新しい病気
・平均寿命と死生観
現代においても、社寺では人々の暮らしに平穏が戻るように祈りをささげてくれている。
一度読んでみると、疫病に対しての目先の見方が変わるかもしれない。